「あの時、もっと早く病院に行けばよかった」「医療費が高額になったらどうしよう」
年齢を重ねるにつれて、健康への意識が高まると同時に、医療費に関する漠然とした不安を抱える方も少なくないでしょう。
特に中高年になると、生活習慣病のリスクが高まったり、持病と長く付き合っていく必要が出てきたりと、医療機関を受診する機会が増える傾向にあります。
しかし、ご安心ください。
日本の医療制度は、私たち国民が安心して医療を受けられるよう、様々なセーフティネットが用意されています。
これらの制度を賢く利用し、日々の家計管理と組み合わせることで、医療費への不安を大きく軽減することが可能です。
この記事では、知っておくべき医療制度の基本から、いざという時の高額医療費対策、そして日頃からできる家計防衛術まで、具体的なヒントを分かりやすく解説していきます。
1. 知っておきたい!日本の医療制度の基本
私たちが病気やケガで医療機関を受診する際、窓口で支払う医療費は、実際にかかった費用の一部(自己負担割合)です。
残りの費用は、加入している公的医療保険(健康保険、国民健康保険など)が負担してくれます。
自己負担割合とは?
・小学校入学前まで: 2割
・小学校入学~69歳まで: 3割
・70歳~74歳まで: 2割(現役並み所得者は3割)
・75歳以上: 1割(現役並み所得者は3割)
この自己負担割合によって、同じ治療を受けても窓口で支払う金額が変わってきます。
公的医療保険の種類
被用者保険(会社員・公務員など):
協会けんぽ
健康保険組合
共済組合 など
地域保険(自営業・フリーランスなど):
国民健康保険
後期高齢者医療制度(75歳以上、または65歳以上の一定の障害認定者)各都道府県の広域連合が運営
自分がどの保険に加入しているかを確認し、保険証を大切に保管しましょう。
2. いざという時の「高額療養費制度」を徹底活用!
医療費の不安を語る上で、最も重要な制度の一つが高額療養費制度」です。
これは、ひと月に医療機関に支払った自己負担額が、年齢や所得に応じた一定額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。
制度のポイント
自己負担限度額: 所得によって異なります。
年収が低いほど自己負担限度額も低く設定されています。
同一月内: 毎月1日から末日までの医療費が対象です。
複数病院の合算: 同じ月内であれば、複数の医療機関にかかった費用や、同じ病院の入院・外来費用を合算できます。
世帯合算: 同じ世帯に属する家族(公的医療保険の加入者)の医療費を合算することも可能です。
多数回該当: 過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目からはさらに自己負担限度額が引き下がります。
事前申請で窓口負担を軽減「限度額適用認定証」
高額な医療費がかかることが事前に分かっている(入院、手術など)場合、「限度額適用認定証」を事前に申請し、医療機関の窓口に提示することで、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。
これは、一時的に高額な医療費を立て替える必要がなくなるため、非常に有効な手段です。
申請先
被用者保険の場合:勤務先の健康保険組合や協会けんぽの支部
国民健康保険の場合:お住まいの市区町村の窓口
後期高齢者医療制度の場合:お住まいの市区町村の後期高齢者医療担当窓口
入院や手術の予定が決まったら、早めに申請手続きを行いましょう。
3. まだある!医療費負担を軽減する制度
高額療養費制度以外にも、医療費の負担を軽減する制度はいくつかあります。
特定疾病療養受療証: 血友病、人工透析が必要な慢性腎不全、HIV感染症などの特定の病気は、自己負担限度額が月額1万円または2万円に軽減されます。
小児慢性特定疾病医療費助成制度: 児童の慢性的な特定の病気に対する医療費助成制度です。
難病医療費助成制度: 特定の難病に対する医療費助成制度です。
介護保険制度: 40歳以上になると加入義務が生じる介護保険制度は、要介護・要支援認定を受けた場合に、介護サービスが1~3割の自己負担で利用できます。
医療と介護は密接に関連するため、将来を見据えて知っておくべき制度です。
これらの制度は、対象となる病気や条件が定められていますので、ご自身やご家族が該当する可能性がある場合は、かかりつけ医や自治体の窓口に相談してみましょう。
4. 確定申告で医療費控除を活用!
1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合、医療費控除として所得税の還付(減税)を受けることができます。
医療費控除の対象となる費用
病院や診療所、歯科医院に支払った診療費・治療費
医薬品の購入費(市販薬も含む)
通院のための交通費(電車、バスなど公共交通機関の運賃)
入院費用(部屋代、食事代、寝具代など)
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費
介護保険サービスで支払った自己負担額(一部)
注意点: 健康増進や予防目的の費用(人間ドックの費用で異常が見つからなかった場合、予防接種費用など)は対象外です。
控除額の計算方法
「支払った医療費の合計」-「保険金等で補填された金額」-「10万円または所得金額の5%のいずれか低い額」=「医療費控除額」(上限200万円)
領収書やレシートは必ず保管し、毎年確定申告の時期にまとめて提出しましょう。
5. 日頃からできる!医療費を抑える家計防衛術
制度を賢く利用するだけでなく、日々の生活習慣や家計管理も医療費削減に繋がります。
a. 予防医療とセルフケアの徹底
定期健康診断・人間ドックの受診: 早期発見・早期治療は、重症化を防ぎ、結果的に医療費を抑える最善の方法です。
自治体や勤務先の補助制度を積極的に利用しましょう。
生活習慣の見直し: 禁煙、節酒、バランスの取れた食事、適度な運動は、生活習慣病予防の基本です。
かかりつけ医を持つ: 些細な体調不良でも気軽に相談できる「かかりつけ医」を持つことで、大病院への無駄な受診を減らし、医療情報の集約にも役立ちます。
市販薬の活用: 風邪や軽い頭痛など、軽症の場合は市販薬で様子を見ることも検討しましょう。「セルフメディケーション税制」の活用も忘れずに。
b. 医療保険(民間の保険)の見直し
公的医療保険だけでは賄いきれない、差額ベッド代や先進医療費、入院中の生活費などをカバーするために、民間の医療保険に加入している方も多いでしょう。
保障内容の確認: 現在加入している保険の保障内容が、今のあなたのライフスタイルや健康状態に合っているか確認しましょう。
過剰な保障になっていないか、あるいは不足している保障はないか。
保険料の削減: 保険料は、保障内容や保険会社によって大きく異なります。
複数の保険会社を比較検討し、無駄がないか見直すことで、固定費を削減できる可能性があります。
貯蓄とのバランス: 医療費は貯蓄で賄うという選択肢もあります。
保険と貯蓄、どちらが自分のリスク許容度や家計状況に合っているかを検討することが大切です。
c. お薬手帳の活用とジェネリック医薬品の利用
お薬手帳: 複数の医療機関を受診する際や、薬局が変わる場合でも、服用している薬の情報を一元管理できます。
飲み合わせの確認など、医療安全にも繋がります。
ジェネリック医薬品(後発医薬品): 新薬と同じ有効成分で作られ、効果も安全性も同等でありながら、開発費用がかからない分、安価で購入できます。
医師や薬剤師に相談し、積極的に利用を検討しましょう。
まとめ:賢く備え、安心して未来へ
医療費は、私たちの健康と直結する重要なテーマです。
しかし、日本の公的医療制度は非常に手厚く、様々なセーフティネットが用意されています。
これらの制度を知り、賢く活用すること。
そして、日頃から予防医療を心がけ、家計管理を見直すこと。
これらを実践することで、医療費への漠然とした不安はきっと解消されるはずです。
ご自身の健康を守りながら、経済的な心配なく、充実した中高年ライフを送るために、今日からできることから始めてみませんか?
きっと、安心感とともに、より豊かな未来が待っているはずです。