はじめに
「さっきまでわかっていたのに名前が出てこない」
「いつも置いているはずのところに物がなくて探しまくる」
──中高年になると、こうした“物忘れ”の経験が増えてきます。
多くの方が「もしかして痴呆(認知症)の始まりでは?」と不安を感じるかもしれません。
でも実は、年齢とともに自然に起こる「もの忘れ」と、認知症による記憶障害には違いがあります。
今回はその違いや、安心して日常を過ごすためのヒントをまとめました。
年齢による物忘れと認知症の違い
まず押さえておきたいのは「自然な物忘れ」と「認知症」の違いです。
加齢による物忘れ
・ヒントがあれば思い出せる(例:芸能人の名前を思い出せないけど後から出てくる)
・体験そのものは覚えている(例:ご飯を食べたこと自体は覚えている)
・生活に大きな支障はない
認知症の物忘れ
・ヒントがあっても思い出せない
・体験そのものを忘れる(例:食事をしたこと自体を忘れてしまう)
・日常生活に影響が出てくる
つまり「忘れていたけど思い出せた」というのは、加齢に伴うごく自然な変化なのです。
不安に振り回されないために大切な心の持ち方
「また忘れてしまった…」と落ち込むと、それがストレスとなり、かえって記憶力を低下させることがあります。
・「年齢なりに自然なこと」と受け止める
・「まだまだ思い出せる」と前向きに捉える
・忘れたことを笑い話にして気持ちを軽くする
気持ちの余裕は脳にとっても大切な栄養になります。
物忘れを予防・改善する生活習慣
脳も体と同じく、使い方しだいで元気を保つことができます。
1.脳を刺激する習慣
読書、日記、パズル、音読などは脳の活性化に効果的です。
2.体を動かす
ウォーキングや軽い筋トレで血流がよくなると、脳の働きも向上します。
3.質の良い睡眠
睡眠は記憶の整理と定着の時間。寝る前のスマホを控えることも効果的です。
4.食生活の工夫
青魚のDHA・EPA、ナッツや野菜の抗酸化物質は脳に良い栄養素です。
5.人との会話
ちょっとした雑談でも脳への刺激は大きなもの。孤独は物忘れを進めてしまう要因にもなります。
6.心の安らぎ
瞑想や深呼吸で心を整えることは、記憶力の維持にもつながります。
受診を検討すべきサイン
自然な物忘れとは別に、次のような状態が頻繁にある場合は、早めの相談が安心につながります。
・同じ質問を何度も繰り返す
・最近の出来事をまるごと忘れている
・お金の管理や調理など、生活に支障が出ている
気になるときは無理に我慢せず、専門医に相談してみましょう。
おわりに
中高年になると、物忘れは誰にでも増えてきます。
それは「自然な変化」であり、必ずしも認知症の始まりではありません。
大切なのは、不安にとらわれすぎず「今できる工夫」を取り入れて、心と体を健やかに保つこと。
笑って「忘れちゃった」と言えるくらいの気持ちで、日常を楽しみながら過ごしていきましょう。