平均寿命と健康寿命の違い
私たちはよく「長生きは良いこと」「寿命が延びたのは素晴らしいこと」と言われます。
確かに医療の進歩によって、日本人の平均寿命は世界でもトップクラスになりました。
しかし、ここで一度立ち止まって考えたい言葉があります。
それが「健康寿命」です。
健康寿命とは、病気や介護に頼らず、心身ともに自立して生活できる期間のこと。
日本人の場合、男性は約71歳、女性は約74歳とされています。
一方で平均寿命は、男性約81歳、女性約87歳。
単純に考えると、男性は約10年間、女性は約13年間
病気や不調を抱えながら生きる期間がある、ということになります。
平均寿命と健康寿命の差は約9.3年。これは世界130カ国中で60位という数字です。
「元気で長生き」なら喜ばしいことですが、
「病気で長生き」となると、果たしてそれは本当に幸せなのでしょうか。
90歳を超える人は現在200万人以上いると言われています。
確かにすごい数字です。
しかし、その中身を見てみると、さまざまな現実があります。
・ベッドの上で、ただ時間が過ぎるのを待つような生活
・重い病気を抱え、長年苦しみ続けている人
・介護する家族や周囲の支えがなければ生きられない人
・体は元気でも、家族や友人を亡くし、深い孤独の中で暮らしている人
数字だけを見て「長生き=幸せ」と言い切れない理由が、ここにあります。
ここで改めて考えたいのが、「心の健康」です。
健康寿命という言葉は、どうしても体の状態に目が向きがちです。
けれど、本当に大切なのは、心が健康であるかどうかではないでしょうか。
たとえ多少の不調があっても、
・生きがいを感じられる
・誰かと心を通わせられる
・感謝や喜びを感じられる
そんな日々を送れているなら、その人の人生は「健康」だと言えるはずです。
反対に、体が元気でも
不安や恐れ、孤独、絶望の中で生きているなら、
それは本当の意味での健康とは言えません。
これからの時代、ただ寿命を延ばすことよりも、
「どう生きるか」「どんな心で生きるか」が、ますます重要になっていくと思います。
心が穏やかで、満たされていること。
自分なりの幸せを感じられること。
それこそが、本当の「健康寿命」であり、
心が健康であれば、自然と人生は豊かに、しなやかに続いていくのではないでしょうか。
長生きの質を、今一度見つめ直す。
そんな視点を持つことが、これからの人生を大切に生きる第一歩になるのかもしれません。